2017年6月20日火曜日

隠されたメッセージ








お久しぶりです、とメールが舞い込む。

差出人は、二年前に持ち家も売って、家族で異国の地に移住していった友人の年若い奥様。

慣れない異国の地での生活が最初は大変だったこと、探したけれど仕事がなくて、今は語学学校に通っていること、それでも子供達はすっかり現地の学校に慣れて楽しんでいること、好きなピアノを自己流だが続けていること、旦那は相変わらず忙しくても充実した生活を送っていること、などなど。

詳細に渡り、とても丁寧に近況が綴られている。彼女に会ったことは、恐らく数回程度。二度ほどご家庭に夕食に呼ばれている。けれども、いつも大勢だし、直接の知り合いは旦那の方なので、特にこれといって話すことはなかった。

いや、そんなことはないか。記憶を掘り起こしてみれば、女性同士の集まりで何度も会っているし、子供の教育のことでも、何度もメールの交換をしている。いやはや、記憶とは全く自分に都合が良いようにできているらしい。

ただ、引っ越していく前の二年間ぐらいは、ほとんど会う機会もなかったので、やはり四年ぶりと言ってもいいか。

とにかく、その彼女からのメールに、旦那の近況を伝える場所で、今彼がパリに出張に行っていること、その後、東欧に出張し、戻ってきたら、息子のサッカーの遠征試合に家族一緒に行くこと、が書いてあった。

そうか。

もしかしたら、彼女は全く気にしないで、本当に純粋に近況を伝えたかったのかもしれない。しかし、穿った見方をすれば、牽制とはとれまいか。

ただ、たとえそれが牽制の意味合いを持ったメッセージだとしても、実は彼女が思ってもいない、別の効果をもたらしたことは、彼女自身気が付かなかっただろう。

それは、他ならぬ彼からのメッセージ。

彼の真剣な思いが伝わってきて、真面目な彼らしいと微笑んでしまう。

男女の友情とは、時に危うい。だから、貴重で尊い。






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