2015年4月29日水曜日

あの子



あの子が大好きな大好きなババロア
苺のピンクのババロアにしよう

庭のリラも持っていこう
いい匂いねって微笑むだろう







奇跡的にこの世に生を受けた、あの子の話を聞いた時、正直、あれ程の学のある親でも、こうもエゴイストなのかと愕然とした。本来ならママのお腹の中で成長するべき時期を、ママの外で過ごすことになる運命だったのだから。


二歳のあの子が遊びに来ると分かって、バッタ達が幼い時の絵本や、沢山のぬいぐるみ達を地下から選りすぐって運び込み、デザートに、苺のババロアを作って待っていた。

ママのお腹にちゃんといたなら、未だ一歳なのか。とってもちっちゃい女の子が我が家にやってきた。デザートに用意した苺のババロアをテーブルに出した途端、その子が全身で大喜び。目に入れても痛くない程の可愛がりようのパパが、小さなスプーンで小さなお口に運ぶと、きゅんきゅんと言って喜んでくれる。あんなに喜んでもらえたのは、初めて。まだお座りがちゃんとできなくて、パパとママが一生懸命に、優しく支えて、かつ教えてあげている姿に心打たれる。それをとっても嬉しそうに、にこにこしながら受け入れている。そして、決して泣かない。



三歳になるあの子に、本当はピンクのトーンのワンピースを買ってあげたかったのだけど、お店にはオレンジのコクリコのサマードレスしかぴったりのサイズがない。でも、そのサマードレスを着ている姿が頼もしく思えて、それを買ってしまう。


心の底から幸せそうな笑顔で迎えてくれる。つかまり立ちを覚えたところ。お客様が気になるのか、パタパタとはいはいして来ては、足につかまって立とうとする。失敗して、どんとひっくり返っても、泣きもしない。また、はいはいしてすり寄ってくる。そして、笑顔。自分で眼鏡を外しちゃう程疲れていて、眠たい時の仕草をしているのに、お客様がいるからか、ベッドに連れていかれると嫌がっている。そうして、デザートのピンクのババロアがテーブルに登場するや、大きなお口を開けて待っている。身体中で幸せって発信している。すごい生命力。幸せって、こういうことなのよって、突き付けてくる。



何かに迷ったら、この子に会いに行こう。辛いことがあったら、この子に会いに行こう。
この次も、ババロアを作って。ピンクのババロアを。


















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