2015年2月15日日曜日

天空に響き渡る透明な音色






「宇宙の秩序を思わせる、彼の身体から発せられる、あの天空に響き渡る透明な音色。その瞬間、彼の内部では全ての物事がすっきりと調和し宇宙と繋がっているんだ。でも、そんなこと、本人は意識もしていないし、理解もしていないのさ。」


ゆるやかながら日差しに温もりが感じられるグループレッスンがあるいつもと同じ土曜の午後。井戸端会議のように、外のベンチに数人の親たちと座り込み、ティーンを持つ親の悩みや、ヴァカンスの計画、美味しい店、手ごろなケーキのレシピなど、他愛ないことを話題にし、のんびりとしていた時のこと。


何故そんな話題となったのか。幼い子供を持つ父親が、自分の子供たちは未だ偉大な音楽家ではないが、人間にとって音楽というものが如何に大切か、それが人間形成にとってどんなに価値あるものなのか、と話し始めた。そうして息子バッタのヴァイオリンのことを言及。雷に打たれたような衝撃が走る。


別の父親がバッタ息子と同年代の自分の息子の話をし始めたことで、それ以上の会話はなかったが、思わずひれ伏して涙したくなってしまう。彼の言葉こそ、天空に響き渡り大地を唸らせるものであり、その瞬間、宇宙に意識が飛んでしまう。


果たして。
その夜、父親との一週間のヴァカンスに発つとき、ヴァイオリンを背負っている姿に、改めて衝撃を受ける。あれ程父親の前でヴァイオリンは弾きたくないと頑なであったのに。


悟りは求めるものではなく突然訪れるものなのか。
新芽になるのであろう茶色の膨らみを沢山枝につけ、木々が風に揺れる。






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4 件のコメント:

  1. ポッサム22/3/15 11:56

    宇宙と繋がっているその音色、聴いてみたいです。。。想像するだけで鳥肌が立つわたしは変?(笑)フェアディンカムのポッサムです。

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  2. ポッサムさん、今日は。コメントありがとうございます。
    ポッサムさんはどんな楽器がお好きですか。
    « music » はギリシャ語の学芸の神様 « mousike » が語源らしいです。明治時代に日本に入ってきた言葉『music』を『音楽』という訳語にし、「音の楽しみ」と訳した先人はスゴイと思うのですが、意味を狭めてしまったと指摘する学者もいるようです。ギリシャ語の «μουσική » は音だけではなく、数学的な秩序をも示すとしています。そう言えばオーストラリアで満天の星空を仰いだ時、音の煌めきが聞こえてくるように感じました。

    弦楽器にお詳しいでしょうか。私は弦が共鳴することを大人になってから学びました。音程がぴたりと合っていると、弾いていない弦が共鳴し透明な音を空間に放ちます。心の湖にさざ波が立ちます。そう。正に鳥肌が立つような感じです。

    想像するだけで感じ入ってしまえるポッサムさんは、感性がとても豊かな方なのだと思います。そんな方がクッカバラの囀りにお付き合いくださり嬉しいです。またぜひコメント待っています。

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  3. ポッサム24/3/15 11:44

    Music というギリシャ語が、数学的秩序を意味しているというのは分かるような気がします。昔ピアノをやっていたとき、バッハがその数学的秩序を駆使してハーモニーを生み出しているのに気づき夢中になったことがあります。下手でしたが(笑)

    音楽に詳しくはないですが、ピアノやチェロの音が好きです。うまい人が奏でるその音には透明感があると同時に手応えがあり、感動させられます。

    そうですよね、オーストラリアの星たちはキラキラとまたたきながら、ざわめき、ささやきしていますよね。そよ風の吹く日に、ユーカリの葉がささやくのを聴くのも好きです。そんなとき、自分が宇宙と繋がっているのを感じます。

    クッカバラさんの書かれる文章は、変な言い方かもしれませんが、シーンとした月夜の月明かりのもと読んでいるように感じます。とっても素敵です。またコメントすることがあるかもしれません。その時はよろしく:)

    (昨晩、コメントをしたつもりだったんですが、うまくいかなかったようです。もし、だぶってしまったらごめんなさい)

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  4. ポッサムさん

    素敵なコメントありがとうございます。ポッサムさんが書いてくださったことを考えているうちに、すっかりとお友達になりお話をしてしまっているような気分になってしまって、実際のお返事が今になってしまいました。ごめんなさい。

    月夜の月明かりという静寂の中、つまり、至高の音楽の世界の中で、ということでしょうか。これは、これは、お畏れ多くも大感激です。

    急にフレーザーアイランドでの早朝の静けさを思い出してしまいました。朝の海を撮りたくて、一人こっそりテントを抜け出した、あの日。静寂の中での波の音。砂を踏む自分の足音。もう30年も前のことなのに、あの時の心の震えと、大海原を独り占めする興奮とが今でもはっきりと思い出されます。

    ポッサムさんはどの辺にお住まいですか。ユーカリの葉の囁き。イメージをたっぷりと膨らませてしまっています。

    そちらはこれから寒くなりますよね。どうぞご自愛ください。またぜひコメントしてください。楽しみにしています。


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