2012年6月22日金曜日

大輪の向日葵


会いたい。
そう思ったら、どうしても会いたくなってしまう。
今週も忙しいと聞いていた。
それでも、金曜のお昼の誘いをしてみる。

誘いを待つ、
それが人間関係を長続きさせる基本なのか、知らないが、
「待つ」ことよりも、
会いたい気持ちが膨らんでしまう。

忙しいときに誘っても、
煩がれ、煙たがれ、むしろ逆効果であることは経験上知っている。

それでも、
と思う。

夕方になっても、まだ真昼のような輝きの中にある真紅の薔薇を見つめ、
丈の高くなった雑草に足を踏み入れたりなどすると、
会いたい思いは弾みがついてしまい、
もう私の手には負えない。

携帯は真夏のゼラニウムの赤の様にひっそりとしており、
微動だにしない。

こんな時、
相手を喜ばせる言葉を書くなんてしないことは分かっているが、
少しぐらい、反応してくれてもよかろうのに、と思ってしまう。

そうして、
頭を切り替え、別の世界に没頭し、会話をし、
着信メッセージがあることさえにも気がつかずに過ごしてしまう。

慌ててみてみると、
果たして、非常に機械的な文字の連なり。

朝から期末の社内会議があるが、13時ならなんとかなるかもしれない。

メッセージはシンプル。
分かりやすいこと、この上ない。
でも、思いが湧き上がってこない。立ち込めてこない。
一体、相手は、会いたいのか、会いたくないのか。
「そうだね、久しぶりにランチできると嬉しいな」
なんて、書けないものか。

「無理そうね。仕事頑張ってね」
とでも書き送ろうか、と思ってしまう。

まあ、まあ。

そうして、太陽が頭上の真上にくるころ、
携帯が震える。新緑の葉裏が風でまぶしくきらめくように。

「今、終わったよ。いつでもOK

車のキーを手に、
階段を駆け下りる。

結局は待たされて、
13時のちょっと手前。

どうする?
クスクス?カレー?

そこの中華にしようよ。
早いし。

ふうん、急いでいるんだ。クスクス、そんなに遅くないよ。
クスクスにしちゃおうかな。

漸く笑顔がのぞく。

大輪の向日葵。。。


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