2011年11月19日土曜日

ズブロッカで乾杯!


幼い子供達が、ちょっと得意そうに、或いは恥らって、一張羅を着て演奏し、その度に会場が拍手に包まれる。

アンリ4世が建設し、ルイ14世がベルサイユ宮殿建設までは、住居にしていたと言うシャトーでのソロコンサート。

小休憩の時間に庭に出ると、夕日が木々の合間に燃えて見える。

今週末はパパとの週末だし、久しぶりにバッタ達の演奏を聴いて貰おうと予め誘っておいた。彼がいることで、私が精神的にダメージを受けようと、バッタ達の演奏を聴いて欲しかった。きっと、バッタ達の父親であることを誇りに思うであろう。彼らの演奏に心揺さぶられるであろう、と確信していた。

相変わらずの無頓着さで、休憩時間に嬉しそうに話に来た。

彼にしたら、私たちしか知っている人はいない世界になっているし、挨拶にくるのは当然と思っているのであろう。そうして、そのことに、そんなに動揺していない自分に気がつき、嬉しくもあった。

長女バッタが上手にパパとの会話を楽しんでいる間に、末娘バッタが甘えたように、トイレに連れて行って欲しいとせがむ。渡りに船と、その場を自然に離れる。途中、息子バッタのチョコレートケーキを一かけ失敬する。

栄養を取らねば。
朝から学校の総会やら、何やらで小忙しくしたきた。
練習は十分している。演奏をリードするのは私。間違っても、ピアノに合わせようとせずに、自分のペースで弾く、と決めていた。

そうして、外の空気をと思って出た庭で、夕日に出会う。

東山魁夷ではないが、夕日がその時私を見つめ、私が夕日を見つめる。その一瞬、エネルギーが心の奥底からゆっくりと湧き上がった来る。

果たして、Seitzのコンチェルト2番、第3楽章を思い切って弾き上げることができた。
小舟の川下りのところは、岩に乗り上げたり、転覆しそうになるが、まあなんとか収まる。最後に弓を高く上げてフィニッシュ。
大喝采。

席に戻ると皆が満顔の笑み。席に崩れ落ちる程、ようやくリラックスできる。
そうして、末娘バッタのヴィヴァルディが始まる。

コンチェルトニ短調第3楽章。

透明に響き渡る音に先ず驚く。そして、しっかりとアクセントがついている。

先週、一回も練習を聞いてあげていないことに思い至る。何度も何度もCDを聴いて練習したと本人が自己申告していた。

涙が出そうになる。

正直、この曲は彼女にとって背伸びし過ぎではないか、と思っていた。

1歳になっても歩こうとせず、1歳半になって、突然走り始めた末娘バッタ。上の子たち2人の話ばかりを私が聞いてしまうからか、耳が悪いのかと疑う程、大きな声で話す末娘バッタ。

彼女は赤ちゃんの時も幼い時も、彼女の為の音楽も、お話も聞かせたあげていなかった。今だって、上の子達と英語で話をして盛り上がること暫し。

末っ子だからって、甘えられるという特典は、我が家では年齢差が少ない為か、そうないかもしれない。

堂々と弾き上げる彼女の姿は、親として涙なしには見られない。

演奏中に笑みを絶やさないことも、素晴らしいと思ってしまう。会場が割れんばかりの拍手を頂戴する。私も惜しみなく拍手を送る。

そして、息子バッタ。

VeraciniGigue

知っている。今朝も誰よりも早く起きて練習をしていたこと。サッカーの練習が終わってからも、さっさとシャワーを浴びて、気になる部分を練習していたこと。

濁る音を気にしてか、いつもより若干パワーに欠ける気がするが、その代わり粒が揃った音がキラキラと輝かんばかり。リズミカルで思わず体が弾んでしまう。

ふと気がつくと、一番前でパパがビデオを取っている。

馬鹿親丸出し。

私は、いつの頃からか、バッタ達の演奏に集中できないからと、カメラを演奏会に持って行くことを止めてしまっていた。良い写真を撮ろうなんてスケベ心を起こしたら、もう演奏には集中できない。今は、私自身が演奏することからも、最早、撮影は不可能となってしまっている。

そうして、長女バッタのWeberCountry Dance

華やかで響く音がサロン一杯に広がる。
自信を取り戻してくれて、本当に良かったと嬉しくなる。彼女も嬉しそうに、優雅に弾いている。ちょっと音を外すが、そんなことは問題ではないと思えるほどの演奏。

あの響く音が出なくて、どんなに悲しく辛い思いをしてきたか。

今はきっと、練習そのものも楽しいに違いない。

心配そうな顔で戻ってきた彼女に、最高だったと告げると破顔一笑。

その後、大騒ぎで会場を片付け、バッタ達の荷物をパパの車に積む。

バッタ達も一生懸命、ママ上手だったよ、今までで最高の演奏だったね、と言ってくれる。

そうして、
今、バッタ達と別れて家に帰り、一人、今日の演奏を振り返る。

勝利の杯を一緒に上げられたら、どんなに嬉しいか。

まあ、これも人生。
それでも気になるから電話をして、バッタ達一人一人を褒めてあげる。

息子バッタが、思うように音が出なかったと嘆いている。

とっても良かったよ。すごくリズムカルでアクセントも上手だったよ、と言ってあげる。

むぎゅっと抱きしめてあげたくなる。

末娘バッタが、何度も何度も、ママ上手だったよ、素敵だったよ、と言ってくれる。

褒められることが、次へのステップに繋がることを十分熟知しているかのように。

では、zubrowkaでバッタ家族に乾杯としよう!



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皆様からのコメントお待ちしております。

2 件のコメント:

  1. あかうな21/11/11 05:31

    とっても素敵なクッカバラファミリーです。こちらにも演奏が響いてきましたよ。私も手に汗握りました。(クッカバラさんの演奏)。ばったさんたち立派ですね。それぞれにそれぞれが光っていて素敵なコンチェルトです。で、まさか一本開けてしまった???と聞いてはいけないんですよね。ひっひっひ。

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  2. あかうなさん

    いつも応援ありがとうございます。
    興奮冷めやらず、寝ても未だ川下りしています!

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